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ザ・バンド (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ザ・バンド』
ザ・バンドスタジオ・アルバム
リリース
録音 カリフォルニア州西ハリウッド、エヴァンヴュー・ドライヴ8850、プール・ハウス
ジャンル ロック
時間
レーベル キャピトル・レコード
プロデュース ジョン・サイモン
チャート最高順位
ザ・バンド アルバム 年表
ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク
(1968年)
ザ・バンド
(1969年)
ステージ・フライト
(1970年)
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ザ・バンド』(The Band)は、ザ・バンドが1969年に発表したセカンド・アルバム。本国では「The Brown Album」とも呼ばれている。

ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・ベスト・アルバム500」(2012年版)において45位にランクインした[2]

概要

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1968年3月24日、ロビー・ロバートソンはカナダ人のジャーナリストのドミニク・ブルジョワと結婚した[3]。同年7月1日、ザ・バンドのファースト・アルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』が発売される[4]。ドミニクとの間に長女アレクサンドラを授かったロバートソンは家族3人でハワイへ飛び、ワイキキの水上ハウスを借りた。『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』のプロデューサーを務めたジョン・サイモン、サイモンの妻とワイキキで会い、新しいアルバムのための曲を書き始めた[5]

『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』のレコーディングはニューヨークのA&Rスタジオ、ロサンゼルスのキャピトル・スタジオ、ゴールド・スター・スタジオなどで行われたが[6]、グループは次のアルバムの音をボブ・ディランとビッグ・ピンク・ハウスで録音した曲に近いものにしたいと考え[7]、レコ―ディングに使えそうな家を探した。ロバートソンがハワイにいる間にジョン・タブリンがカリフォルニア州ハリウッド・ヒルズにあるプール付きの邸宅を見つけた。その家はかつてジュディ・ガーランドやウォーリー・コックス、サミー・デイヴィスJr.などが所有していた物件だった。ロバートソン一家はハワイからハリウッド・ヒルズへ直接向かい、他のメンバーと合流した。ヘルムはプールハウスの寝室エリアで寝泊まりすることになった[5]

グループとジョン・サイモンはキャピトル・レコードを説得し、3Mの8トラック・テープ・マシン、アルテックの604モニター、EMTのエコー・チェンバーなどをプール・ハウスに持ち込んだ。サイモンによれば機材のセッティングには時間がかかったため、その間にロバートソンは曲を書き、バンドは練習を行ったという[8]

アルバムは1969年9月22日に発売[1]。ロバートソンはレコーディング・エンジニアも務めた。ミキシング・エンジニアはジョー・ザカリーノとトニー・メイ。ジャケットの写真はエリオット・ランディー、デザインはボブ・ケイトー(Bob Cato)が行った[9]Billboard 200の9位を記録した。

2000年の再発盤にはライブ・アルバム『Rock of Ages』で初めて発表された「ゲット・アップ・ジェイク」はじめ6曲のボーナス・トラックが収録された。

2019年11月15日、「50周年記念2CDデラックス・エディション」と「50周年記念スーパー・デラックス・エディション」(6枚組)が発売された[10][11][12]

収録曲

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Side 1
  1. ロッキー越えて - Across the Great Divide (Robbie Robertson) - 2:53
    リード・ボーカル:リチャード・マニュエル
  2. ラグ・ママ・ラグ - Rag Mama Rag (Robertson) - 3:04
    リード・ボーカル:リヴォン・ヘルム
  3. オールド・ディキシー・ダウン - The Night They Drove Old Dixie Down (Robertson) - 3:33
    リード・ボーカル:リヴォン・ヘルム
  4. ホエン・ユー・アウェイク - When You Awake (Richard Manuel, Robertson) - 3:13
    リード・ボーカル:リック・ダンコ
  5. クリプル・クリーク - Up on Cripple Creek (Robertson) - 4:34
    リード・ボーカル:リヴォン・ヘルム
  6. ウィスパリング・パインズ - Whispering Pines (Manuel, Robertson) - 3:58
    リード・ボーカル:リチャード・マニュエル
Side 2
  1. ジェミマ・サレンダー - Jemima Surrender (Levon Helm, Robertson) - 3:31
    リード・ボーカル:リヴォン・ヘルム
  2. ロッキン・チェアー - Rockin' Chair (Robertson) - 3:43
    リード・ボーカル:リチャード・マニュエル
  3. ルック・アウト・クリーブランド - Look Out Cleveland (Robertson) - 3:09
    リード・ボーカル:リック・ダンコ
  4. ジョーボーン - Jawbone (Manuel, Robertson) - 4:20
    リード・ボーカル:リチャード・マニュエル
  5. アンフェイスフル・サーヴァント - The Unfaithful Servant (Robertson) - 4:17
    リード・ボーカル:リック・ダンコ
  6. キング・ハーヴェスト - King Harvest (Has Surely Come) (Robertson) - 3:39
    リード・ボーカル:リチャード・マニュエル

脚注

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  1. ^ a b Harris 2014, p. 121.
  2. ^ The Band, 'The Band' | 500 Greatest Albums of All Time | Rolling Stone
  3. ^ ロバートソン 2018.
  4. ^ Draper, Jason (2024年7月1日). “‘Music From Big Pink’: How The Band’s Debut Album Defined Americana”. uDiscoverMusic. 2024年9月12日閲覧。
  5. ^ a b ロバートソン 2018, pp. 350–351.
  6. ^ Hoskyns 1993, pp. 146–159.
  7. ^ Jackson, Blair (2002年10月1日). “Classic Tracks: The Band's "The Night They Drove Old Dixie Down"”. Mixonline.com. 2017年4月25日閲覧。
  8. ^ CLASSIC TRACKS: The Band 'The Night They Drove Old Dixie Down'”. Soundonsound.com. 2017年4月25日閲覧。
  9. ^ The Band - The Band (Vinyl, LP, Album) at Discogs
  10. ^ ザ・バンド - 50周年記念2CDデラックス・エディション”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2022年3月22日閲覧。
  11. ^ The Band – The Band (2019, 50th Anniversary Edition, Box Set)”. Discogs. 2022年3月22日閲覧。
  12. ^ ザ・バンド - 50周年記念スーパー・デラックス・エディション”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2022年3月22日閲覧。

参考文献

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  • Harris, Craig (2014). The Band: Pioneers of Americana Music. Lanham, MD: Rowman & Littlefield. ISBN 978-0-8108-8905-7. https://books.google.com/books?id=j8lZAwAAQBAJ 
  • Hoskyns, Barney (1993). Across The Great Divide: The Band and America. Viking. ISBN 0-670-841447 
    • バーニー・ホスキンズ 著、奥田祐士 訳『ザ・バンド 流れ者のブルース』大栄出版、1994年8月。ISBN 978-4-88682-574-2 
  • Robertson, Robbie (October 25, 2016). Testimony. Crown Archetype. ISBN 978-0307889782